3. スクリプトをいきなり書いていませんか?
いきなりスクリプトを書き始めていませんか?
「コール基本設計書」で会話の方針を定めておくと、本来の目的からずれた会話にならずにすみます。
(1)いきなりスクリプトを書いてはいけない
いきなりスクリプトを書いてしまうと、具体的な内容にとらわれ、戦略的な視点が抜け落ちてしまいがちです。いくら伝えたいことがたくさんあったとしてもそのすべてをスクリプトに盛り込むわけにはいかないため、最終的には情報を削ぎ落としていくこともあります。そのように、会話としてシンプルで聞きやすいスクリプトからは、そのコールの方針を読み解くことが難しいでしょう。そのため、コールの方針を「コール基本設計書」でまとめておくのです。
「コール基本設計書」は極めてシンプルなドキュメントです。また、他部門との連携が必要な場合は、コールセンターと関連部門との連携の仕方や会話の範囲なども定義されるため、それをもとに打ち合わせをすることが可能となります。
「コール基本設計書」という用語は聞いたことがない、というお声をよくいただきます。これらはboosterオリジナルなツールのため、業界での共通認識ではありませんが、マーケティング戦略とスクリプトをブリッジするという大切な機能があるため、作成することを推奨しています。
コール基本設計書は、スクリプト作成後も活用の場があります。スクリプトは、ロールプレイングや現場のオペレーションを経て何度も修正されていくのが一般的です。修正は、細かいものではトークの「てにをは」から、大きなものではコールの流れ自体に及ぶものもあります。修正を繰り返すうちに、本来の目的から外れたスクリプトが出来上がる、ということはよく聞きます。
(2)コールの目的がずれてくることがある
例えば、来店促進のアポイント獲得がコールの目的だったのに、実施するうちに、「ニーズのヒアリング」や「見込み度の判定」、はたまた「商品提案」もするようになり、いつの間にか提案の機会になってしまう、という具合です。これでは、何のためのコールかわからなくなります。この場合、コールの目的を検討し直す必要があります。目的を抜本的に見直すのか、もともとあった目的に沿ってスクリプトを練り直すことを検討します。
他にコールの目的自体がブレてしまう例として、他部署などからの要請を受けた結果、1つのコールに複数の目的を持たせてしまうものがあります。以前の事例では、商品セールスのついでにマーケティングアンケートや新商品の予告もしたい、といったケースがありました。こうしたコールはお客さまからすると、「一体、なんの電話だったの?」と混乱してしまいます。その結果、本来の目的が達成されず実績の低下に繋がることも少なくありません。
このようなケースにおいても、事前にコール基本設計書がしっかり組み立てていればコールの本来の目的に立ち返ることができ、手遅れにならずに早期の問題解決が可能になります。スクリプトがコール基本設計書から外れているとわかれば、コール基本設計書に沿って修正することができるのです。コール目的そのものを変更する必要がある場合は、コール基本設計書の再定義をすればよいのです。