9. これだけ多くの効果・効用があるモニタリング
モニタリングのその効果、感じていますか?
モニタリングは、やり方次第で想像を遥かに超える効果が得られます。ここでは、ある企業の事例を実施内容とその成果をご紹介しましょう。
(1) モニタリングと教育を組み合わせる
ここでは、あるコールセンターの品質向上を目指したモニタリング活動の事例を紹介しましょう。この事例は、約4ヵ月間に渡って、2回のモニタリングによる品質評価と研修を組み合わせて行いました。
コールセンターの品質向上にむけた取り組みの流れ
【取り組み①】第一回 モニタリングチェック
- 応対品質レベルと特徴を把握するため、モニタリングを実施
- 全体やチームごとの傾向や課題の顕在化
【取り組み②】今後、品質向上に携わる管理者層にむけての研修の実施
- 「第一回 モニタリングチェック」の結果を共有し、今後の改善活動にむけての共有
- コミュニケーター研修を実施した後のフォローについて具体的な取り組み策を共有
- 応対品質への理解とコミュニケーター育成についてのやり方を学習
【取り組み③】コミュニケーター向けの研修の実施
- 今後の応対品質向上にむけての方針を説明
- 具体的なやり方について実践学習
- 研修後、管理者よる丁寧なフォロー活動
【取り組み④】第二回 モニタリングチェック
- 【取り組み①~③】の成果確認のため、モニタリングを実施
- 全体やチームごとの変化を確認し、今後の改善計画を立案
(2) モニタリングによる6つの効果
4ヶ月間の取り組みにより、多くの成果を得ることができました。
モニタリングによる6つの効果
【成果①】センタ―内で応対品質への理解と共有が図れた
- 現在の応対品質レベルと特徴、チームごとの傾向や課題を共有できた
- また、今後、どのような応対を目指すべきかが明確になった
- 具体的にどのような会話の流れや説明が良いのか、悪いのかが明確になった
- 具体的にどのような技術が不足しているのかが明らかになった
- 望ましいコールの抽出につながり、センター全体で共有ができた
【成果②】コミュニケーターの意識の変化
- 常に「良い応対」に近づこうと、意識をもって業務にあたるようになった
- マンネリ化していたセンター内の雰囲気が改善し、モチベーションがアップした
- セールスプロセスの一部としての期待されていることを自覚し、自ら考えるようになった
- お客さま満足へのマインドが芽生えた
【成果③】スクリプト改定によるトークの質の向上
- 質の高いスクリプトを作ることができ、人材育成の短縮化が図れた
- 個人任せになっていた会話のばらつきを抑えることができた
- スクリプトのブラッシュアップを通じて、魅力的な会話につなげることができた
- 通話時間が短縮された
- お客さまの理解不足が解消し、再入電が減少した
【成果④】営業成績の向上
- コールセンターのセールス貢献実績が大きく向上した
- 連携する営業担当者との関係性が濃くなり、連携が強化された
【成果⑤】品質管理の運用面の改善
- 主観に左右されない、平等かつ具体的なモニタリング評価とフィードバックが可能になった
- 全体的に不足しているスキルや知識が明らかになり、教育の方向性が明確化した
【成果⑥】コミュニケーターの人事評価基準の見直し
- これまでの営業成績中心の評価制度を見直し、応対品質など新たな基準を取り入れることができた
- コミュニケーターの納得度が増した
- 人事評価が公平性を担保できるようになった
(3)これだけ多くの効用があるモニタリング
上記のことからも、モニタリングには多くの効果や効用があることがわかります。モニタリングを限定的に活用するのではなく、その結果を読み解き、関係者と共有や議論をし、改善へのアクションプランを推進することができれば、必ずや期待以上の効果を得ることができるでしょう。
これらの成功に導くためには、あらかじめモニタリングの運用を計画しておくことが重要です。できれば、事前に年間計画をたて、そのタイミングごとに、何を目的に、どのように実施するのかを綿密に予定しておきます。それがあれば、あとは丁寧に推進するだけです。各取り組みをする際に都度プランを考えていると、統一感や関連性が保てないことにもつながるため、できれば一連の流れとして計画をたてておければよいでしょう。