7. モニタリングによる直接的な効果とは
モニタリングをどのように活用していますか?
ここでは、モニタリングによる直接的な効果について考えていきましょう。
(1)モニタリングの活用範囲を限定しすぎない
モニタリングの活用範囲は、品質やコミュニケーターの管理にすぎない、と考えてはいませんか。しかし、これまで事例のように事前の明確な課題抽出と評価基準の策定によって、大きく広がります。
具体的には、センタービジョンを明確にし、具体的な評価基準を策定するなどといった適切なステップを踏んだモニタリングの影響はセンター内にとどまらず、顧客獲得プロセスの見直しによる営業利益の貢献、マネジメントに影響し全社的CS向上に繋がるなどの効果もあります。また、マーケティング戦略への影響や商品・サービスの訴求ポイント策定にまで至ることがあります。
(2)モニタリングによる直接的な効果とは
センター運営におけるモニタリングの直接的な効果については、主に以下の3つをあげることができます。
【直接的な効果①】品質管理への貢献
【直接的な効果②】スクリプトなどのオペレーションツールへの貢献
【直接的な効果③】教育・研修計画への貢献
ここからは、ぞれぞれの効果について解説をします。
1つめの「品質管理への貢献」は、主にコミュニケーター個々のパフォーマンス管理を考えがちですが、モニタリングの効果として注視すべきことはそれだけではありません。定期的なモニタリングを行うことによる“チーム別の管理”ができ、これこそが重要でもあります。
一般的に、コールセンターではコミュニケーターを数人ずつのチームに分け、それを担当スーパーバイザーが管理することが多いでしょう。そのため、各スーパーバイザーの指導力によってグループごとのパフォーマンスに大きく差が出る場合があります。
また、コミュニケーターの話し方は、周りにいる人の影響を大きく受けます。例えば、「オープニングが覇気がない」「スピードが速い」などはチームごとに強く傾向が出ることがあります。これは近くに座っている人の会話を互いに聞くことで、応対が似てくるのです。そうしたようにチームごとの傾向がつかめれば、個々人への対応ではなく、チームごとに取り組みをすればいいのです。
次に、2つめの「スクリプトなどのオペレーションツール改善」についてですが、コミュニケーターが会話をする際に参考にするツールの精度が高くない場合、どんなに技量の高いコミュニケーターでも顧客との会話の中でうまくいかないが出てきます。
例えば、スクリプトにある商品/サービス内容の説明が不十分だったり、頻出する質問に対する答えがFAQにない、あるいは用意された答えが不適切だったりといったケースです。このように不備のあるツールで運営しているセンターでは、新人からベテランまですべてのコミュニケーターが「わかりづらい」「話が無駄に長い」などの共通の課題を抱えている場合があります。
コールセンター全体にモニタリングを行うことで、個々のコミュニケーターの問題か、それともオペレーションツールによる問題かといった原因が判明します。逆に、モニタリングチェックの中から非常に効果的なトークを発見できることも多々あります。管理者が苦労して検討している「その一言」は現場のコミュニケーター自身が持っていることも往々にしてあるのです。
最後に、3つめの「教育・研修計画への貢献」について説明しましょう。 モニタリングをセンター全体で定期的に行うと、「どのようなレベルの人が多いか、またはどの部分が不足しているか」という品質全体の偏りがよくわかります。偏りさえ確認ができれば、しかるべき教育の実施を計画することが可能です。
以下は、上質な電話応対には以下の4つの要素が重要です。このどれが欠けてもお客さまにご満足いただける応対にはなれないため、バランスよく磨くことが重要です。そのため、モニタリングで発見された課題をこれに照らし合わせ、教育を体系だてて計画することが大切です。
例えば、「お客さまから聞かれたことだけを答える、受け身な応対」といった課題を抱えるセンターがあったとしましょう。そうした際は、何が原因で受け身になっているかを明確にします。知識不足で自信がないためにそのような応対になっているのか、はたまたマインドが醸成されていないために知識や技術を持ち合わせていたとしても積極的にはそれらを活用しないのか、敬語や話し癖などが厳しいためになるべく通話時間を短く終わらせたいという気持ちが働いているのか、などです。
その原因がつきとめられたら、その解消にむけての研修や教育を計画し、実行すればいいのです。