9. モチベーションは、コールセンターの実績に大きく影響する!
センターのモチベーション対策はどうしていますか?
モチベーションは、離職率や応対品質、作業効率、ミス発生率などに影響します。個々の担当者の「心の問題」と諦めずに、課題がある場合は速やかに対処したいものです。
(1)モチベーション低下の予兆を知る!
コールセンターにおけるスタッフをどのように“やる気”を起こさせるのか。よく心の問題と言われますが、実は理論的なアプローチも有効です。また、この問題は伝染すると離職率が高くなり、加えて、コール品質や実績数値の低下というマイナスのスパイラルになりがちです。モチベーションがセンター全体に広がると、重い雰囲気になりますが、そのようになる前にその兆候を見つけることが重要です。不満を抱えたコミュニケーターやスーパーバイザーが、無意識のうちにサインを出していることも多いのです。大切なのはコミュニケーション機会を増やし、耳を傾けることが大切です。打ち合わせやレポートに出てこない内容こそが、根深い問題として、モチベーション低下に影響していることがあります。
(2)モチベーション対策のステップを決める!
コミュニケーターはいろんな不満があり、それが深くモチベーションに関係します。人間関係、評価や給料・待遇、雇用形態、勤務シフト、スーパーバイザーの対応、仕事内容などが主な理由であり、対面でヒアリングすると、その根源が見つかります。個人的な問題やセンター全体の問題もあります。日常の業務の中で「気づき」→「調べる」→「問題点をチェックする」→「課題を整理する」→「対応策の検討をする」→「対応策を実行する」→「検証する」というようにモチベーション対策のサイクルを決めておきましょう。
(3)ほったらかしが一番のモチベーション低下につながる?
課題が発見された時に対策をたてるのではなく、日常業務におけるモチベーション対策も重要です。実は“ほったらかし”にされることが、一番モチベーションダウンにつながることを認識する必要があります。特にマイナスを発信しないため安心して他に目を配っていると、長い期間、誰からもフォローされていないことが起こります。また、次のようなことも日常の対応策として実施してみてはいかがでしょうか。
- 担当者によって偏りがでないようバランスや公平性を図る
- 良い点を見つけて、小さなことでも褒めること
- 管理者側から積極的に、かつ明るく挨拶するなど、手本となる行動を示す
- 業務日誌や報告書には必ず目を通し、簡単なコメント(ねぎらいや感謝の言葉等)を入れる
- 業務日誌や報告書の中に気になることがあれば、早めにチェックする
- コミュニケーターの進言や提言などを受け止め、必要に応じてフィードバックする
(4)インセンティブは効果があるのか?
セールス獲得型のアウトバウンドなどを主業務とするセンターでは、時給単価とは別に実績に対する報奨金(インセンティブ)を導入しているところがあります。具体的には、「1件の受注に対して1000円のインセンティブを支払う」という歩合のような形です。こうしたインセンティブの割合が高い場合は、コミュニケーターにとって強い刺激となります。しかし、同時にコール本来の目的達成よりもインセンティブを得ることを優先する人が出てくる可能性も多々あります。
また、お客さまに対しては、強引な受注や契約をお勧めすることもあり、間違った方向に走って、企業イメージがダウンすることもあることを認識しておきましょう。さらに、一部のトップコミュニケーターしか獲得できなくなることもあり、それ以外のスタッフへの影響もあることも考えておく必要があります。インセンティブは事前のシミュレーションや検証を重ね、与える影響を十分に考慮した上で導入を決定するのがよいでしょう。
(5)モチベーションアップのための具体的な対策を実施しよう!
モチベーションをアップさせる対策は様々です。ただ、各コールセンターにおいては、状況に対応して、複数の施策をうまく組み合わせて行うことをお勧めします。対応策の項目は以上のようなものです。ミッションの共有、人材評価の最適化、キャリアパスの構築、妥当性のある報酬規程の実施、学習機会の提供、スーパーバイザーの指導力や管理能力の強化、スタッフの満足度調査(ES)など。
また、実際のオペレーション現場での対応策は、日常の声かけ、対話機会の確保、積極的な意見の吸い上げ、オペレーションツールの整備、表彰制度、無理のないシフトづくり、センター環境の整備、コールセンター内のコミュニティづくりなどがあります。