9.「モチベーション」を管理することはできるのか
コールセンターのモチベーション管理はどうしていますか?
そもそも、「人の心」、モチベーションを管理できるのかと疑問を持つ方も多いかもしれません。多くの人が携わるコールセンターにおいて、万能なモチベーション対策はありませんが、コミュニケーターが自らの役割や位置づけ、期待されていることをしっかり認識することは最低限、必要なことです。
(1)優秀なコミュニケーターほど辞めていく!?
コールセンターにおいて、よく「優秀な人ほど辞やめていく」という声を耳にします。それはどういうことなのでしょうか。何かの目標のために一時的にコミュニケーターになった人が、本来の自己目標のために退職するケースがあります。こうした人たちは優秀なコミュニケーターであることも多いのですが、元々目的が他にあるので、短期間で退職することがあります。流動性の高い雇用環境ではしかたがないことと言えます。問題なのは、「人間関係」と「モチベーション」を理由に離職するパターンです。これらは非常に根が深いテーマなのですが、実は、コールセンターの運営システムと密接に関係があります。
(2)コールセンターの「モチベーション」をチェックしてみよう!
チェック | 内容 |
---|---|
チェック1 | 現在のセンター内のモチベーションレベルを把握しているか |
チェック2 | 退職者数や離職率などを数値管理しているか |
チェック3 | コミュニケーターの勤怠を数値管理しているか |
チェック4 | 休憩室やオペレーションルームの日頃の雰囲気をウォッチしているか |
チェック5 | 管理者からコミュニケーターへの声かけを積極的に実施しているか |
チェック6 | 管理者からコミュニケーターへの話の仕方は温かく上質であるか |
チェック7 | 日頃からセンター内の人間関係、信頼関係の構築に努めているか |
チェック8 | コミュニケーターと直接コミュニケーションを取る工夫をしているか |
チェック9 | コミュニケーターの意見を吸い上げる場があるか |
チェック10 | お客さま満足度調査やお客さまからの感謝のメッセージなどを共有しているか |
(3)優秀なコミュニケーターを軽視していませんか
コミュニケーターへの評価が甘いセンターでは、業務を淡々とこなしていれば、それなりの賃金が出ることが多いのが現状です。そのため、そこに優秀なコミュニケーターや潜在能力の高い人が勤務しても、「がんばっても報われない!」という無力感を生み、早期の離職につながることがあります。一方、アウトバウンドセンターでしばしばあるように、実績(結果)偏重で評価をしている場合、数字をあげるコミュニケーターが評価されるため、新人もそれに追随します。たとえコミュニケーションの内容が悪くても、実績を上げる限りよしとされ、それがセンター全体の特色として受け継がれます。その結果、そのようなセンターの環境になじめない、”優秀なコミュニケーター”が離脱してしまうことになりかねません。
(4)コミュニケーターのミッションを丁寧に伝える
こうしたモチベーションのような心の問題は、センター運営を見直すことで解決に導くことが可能です。コールセンターのミッションやコミュニケーターに期待されていることを丁寧に説明し、モニタリングでは評価基準を明確にし、実力に応じて相応の評価をすることが大切です。それだけでも、良いコミュニケーターが安定的に残る好循環となることもあります。問題は”人”ではなく、センターの健全な管理・運営自体であり、コミュニケーターの能力を最大限に活かすことが一番重要なのです。